映画「ハリー・ポッターと秘密の部屋」のマルチストリーム構造

さて、本日紹介する作品は「ハリー・ポッターと秘密の部屋」です。
大人気ハリー・ポッターシリーズの第二作。

今作は前作と決定的に違う点があります。
それがなんなのか、早速解析していきましょう。

盛り上がり曲線はこうなっています。
秘密の部屋曲線 
前作のWEB小説曲線風の構造から一転、ミステリー曲線に近い動きをしていますね。
ご覧になった方もおわかりのように、今作は派手なアクションシーンが若干抑えめで、ミステリー的な推理・調査パートが多いです。
とはいえ、要所要所に適切なアクションシーンを入れて盛り上がりを維持しています。
まずはあらすじを確認しましょう。


※以下ネタバレが含まれます、ご注意ください。


■おおまかなあらすじ(長いので見た人は飛ばしてください)
再びダーズリー家での暮らすハリー。
そこに、突然屋敷しもべ妖精のドビーが現れ、「ホグワーツに戻ってはならない」と忠告する。
ドビーのいたずらもあり、自室に軟禁されるハリーだったが、そこにウィーズリー兄弟が空飛ぶ車で駆けつけた。
ロンたちの協力でダーズリー家を脱出したハリーは、ウィーズリー家に滞在。
ダイアゴン横丁で買い物を済ませ、ホグワーツへ向かうハリーたち。
しかしなぜか9と3/4線へ行くことができず、ロンの運転する空飛ぶ車でホグワーツ(暴れ柳)へと不時着するのだった。

新しく来た先生ギルデロイ・ロックハートのはちゃめちゃな授業や、ドラコのクィディッチ参加など、ホグワーツでの学園生活が描かれる。
そんな中、管理人フィルチの猫が石にされる事件が発生する。
壁には「秘密の部屋は開かれたり、継承者の敵よ気をつけよ」という血で書かれた文字が。

その後、秘密の部屋を探すために様々な方向から調査をするハリーたち三人。
ハリーはその過程で「トム・リドルの日記」を見つける。
日記の力によって50年前の過去を体験したハリー。
50年前にも生徒が石化し、死に至る事件が起こっていたのだった。
そこではハグリッドの飼っていた蜘蛛が疑われ、トム・リドルが追及していた。

調査の間にも生徒が石にされる被害が続き、ついにハーマイオニーまでが石にされてしまう。
さらにはハグリッドのアズカバンへの連行、ダンブルドアの退陣と、ホグワーツが危機的状況に陥っていく。

傷心するハリーとロンだったが、ハリーがハーマイオニーの握っていた紙片を見つけ、「バジリスク」の存在にたどり着く。
嘆きのマートルの証言から、ようやく秘密の部屋を見つけるハリー。
そこで待っていたのは、50年前の姿のままのトム・リドルだった。

ハリーはトムの操るバジリスクに翻弄されるが、不死鳥フォークスが運んできた組み分け帽子からグリフィンドールの剣が出現。
剣によって辛くもバジリスクを撃退。バジリスクの牙でトムの日記を破壊すると、トム・リドルも消えたのだった。

■構造解析
あらすじが長い!笑
というのもこの作品「マルチストリーム構造(造語)になっています。
冒頭からメインストリームといくつかのサブストリームを作り、それぞれがメインストリームに関わりつつ、最終的に一つにまとまって終わるというもの。
なので、本来なら同時に三つのラインのあらすじを書かなければいけず……極力削ったのですがこんな結果になってしまいました。
では、各ストリームを紹介します。

・メインストリーム
もちろんメインストリームは秘密の部屋とトム・リドルですね。
シリーズを通してのラスボス「ヴォルデモート」の過去を描いた話。
冒頭「前作と決定的に違う」と前置きしたのはこの点です。
前作はヴォルデモートの存在が「噂に聞くやばいやつ」程度だったのですが、この話が語られたことでぐっと魅力的になりましたね。
トム・リドルを協力者のように描写し(実際秘密の部屋に呼ぶために協力していた)、安心させたところを裏切る形で明かしたのも効果的でした。
ただ、このストリームだけでは全体的に話が重くなり、視聴者が眠くなってしまう可能性があります。
そこで必要なのがサブストリームです。

・サブストリーム
一つがドビーの存在。
鬱陶しいんだけどなぜか憎めないやつとして、マスコットキャラの役割を一応は果たしてます……よね、うん。多分。
冒頭に登場したドビーは、ハリーをホグワーツから帰すために色々な妨害工作を仕掛けます。
この点は終盤に明かされるので、「なるほど」と思った人も多いはず。
そして最後には、ハリーの邪魔ばかりしていたドビーがハリーを助けます。
このシーンでドビーの株がぐーんと上がった人も多いはず。
これはゲイン効果と呼ばれるもので、「不良が良いことをするとめっちゃ良い人に見える」あれと同じですね。
サブストリームでありながら、ちょっとしたカタルシスもあるわけです。

・サブサブストリーム
ついでにギルデロイ・ロックハート。これは完全にネタ要因ですね。
ドビーは前半に出たあとずっと出てこないので、代わりにこの人が緊張緩和の役割を担ってくれています。
ドビーと違って見た目は良いが憎たらしい性格で、かっこ悪いシーンも多い。
一種のロス効果が働き、気兼ねなく笑って馬鹿にできます。

この効果に注目してみると、ロックハートとドビーは対になる盛り上げキャラだということがわかりますね。

他にもクモでミスリードを誘ったり、身近な場所に秘密の部屋があったりと、ミステリーの手法も取り入れられています。
賢者の石に比べると派手さは劣るかもしれませんが、やはり非常に論理的に視聴者を楽しませる工夫がされているなと自分は思いました。

■まとめ
あらすじに続き解析まで長くなってしまってすいませんでした!
今回のキーワードは、「マルチストリーム構造」でしょうか。
構造を複雑にするだけでなく、違った要素のストリームを複数組み合わせることで、メインでやりたいことが重い題材だったとしても視聴者・読者を惹きつけることができます。

この手法はイメージ以上に簡単に使えると思います。
メインストリームを軸としたプロット代わりのタイムチャートを書けば、あとはメインストリームにちょこちょこサブストリームの要素を加えながら本文を書くだけです。
面白くなるかどうかは、やはり作り手のさじ加減にもよってしまうのですが……。

さて、それでは今日はこの辺で! サラダバー!

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志室幸太郎

Author:志室幸太郎
あの名作からなんてことないニュースまで、ストーリー性のあるものを構造解析していきます。
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