小説「キノの旅」に学ぶ、長期シリーズの書き方

今回紹介するのは、自分が小説を読み始めるきっかけとなった作品「キノの旅 -the Beautiful World-」です。
時雨沢恵一さんの作品で、2000年に第一巻が刊行されて以来累計700万部以上を売り上げています。
非常に読みやすい文体でキャラクターも魅力的なのですが、内容は寓話的であったり毒もあったりと、大人から子供まで楽しめる作品になっていると思います。

この作品は短編連作形式なので全体を通した曲線ではないのですが、一巻ごとに見るならこうでしょう。
キノの旅曲線 
多分ほとんどの巻がこういう形になっています。
ミステリー曲線+WEB小説曲線とでも言いましょうか。
では、簡単なあらすじをご覧ください。


※以下ネタバレが含まれます、ご注意ください。


■おおまかなあらすじ
ボーイッシュな女の子“キノ”と、喋るモトラド(二輪車。空を飛ばないものだけを指す)“エルメス”が、様々な国を巡りながら旅をする話。

■構造解析
な、なんて簡単なあらすじなんだ(歓喜)。
このブログのなにが大変かって、作品をなるべく簡潔にあらすじとしてまとめるところなんですよね……。
という泣き言はさて置き、キノの旅がどういう構造を取っているか説明します。

1.読み続けやすい土台設定

まず、「キャラクターが国を巡りながら旅をする」という土台の設定が素晴らしいですよね。
強制的にキャラクターの行動が決められているので、一巻を読んでしまえば二巻以降頭に入れなければいけない新しい情報の量をぐっと減らすことができ、読者はぺらぺらとページがめくれます。
文体も含めたこの読みやすさが、一巻から10年の時が流れても愛され続ける要因でしょう。

ただしこれ、書く方は相当大変だと思います。
土台が決まっているだけに、決してそれに甘えてはいけないからです。
「あれ、これ前もあったな」と思われないように、導入や国の設定にバリエーションをつけるのは骨が折れるでしょう。
それを10年も続けられている時雨沢さんは凄いですね……。

2.巻頭と巻末に分けられた話

キノの旅の「お約束」的な要素として、AパートとBパートに分けられた話が巻頭と巻末に載っています。
特徴的なのが、先にBパートを載せて結果を提示し、巻末のAパートで経緯を説明するというやつですね。
これが本を最後まで読むモチベーションアップに非常に効果的で、色々な国を楽しんだあと、最後に「ああー、なるほど」と納得できるのです。

3.あとがき

そして時雨沢さんと言えば絶対に外せないのが、「あとがき」の存在でしょう。
どうやらご本人があとがきに並々ならぬこだわりがあるらしく、巻頭にあとがきがあったり、表紙の裏にあとがきがあったりと、もうめちゃくちゃです。
ネタバレが一切ないので先に読んでも問題ないという親切設計。
自分も新刊を買う度に、まずあとがきがどうなっているか探していたものです……。

■まとめ
今回は「キノの旅」を総括した記事になっていますが、今後印象に残った話を一話ずつ解析してみようと思います。
実は新刊を追いかけなくなって久しいので、この機会に既刊を全部揃えて今どうなっているのか確かめたいところですね。

それでは各話の記事もお楽しみに! サラダバー!

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