ゲーム「かまいたちの夜」は名作推理小説

さて、本日紹介する作品はゲーム「かまいたちの夜」です。
シナリオを推理小説家である我孫子武丸氏が担当。
本作は推理小説以上の面白さとも評され、大ヒットしました。
これも個人的に記憶を消してもう一度体験したい物語の一つですね。

盛り上がり曲線はこうなっています。
かまいたちの夜曲線 
「そして誰もいなくなった曲線」に似た、一般小説+ミステリー曲線ですね。
ただ今作が小説や映画と違うのは、登場人物たちの行動を決めるのがプレイヤーだということです。
この図は「物語が最大限長引いた場合」の曲線になっています。
プレイヤーの選択によってもっと早い段階でクライマックスを迎えることもできますし、同時に事件が解決しない可能性もあります。(とんでもない展開になることも)
初プレイの序盤で犯人が誰かわかる人はそうそういないでしょう。
一発で犯人を言い当てた方は名探偵になれます。

前述したように、すでに書かれてしまっている文章を読むだけの小説とは一線を画する体験ができます。
沢山リメイクされていますので、まだプレイしていない方は是非やってみてください。
絶対に損はしないはずです。


※以下ネタバレが含まれます、ご注意ください。


■おおまかなあらすじ
大学生の透と真理は、真理の叔父の経営するペンション“シュプール”へ遊びに来ていた。
ひとしきりスキーを楽しんだあとペンションに戻ると、外は吹雪に。(クローズドサークル完成)

この時点でシュプールにいる人物は、
透と真理。ペンションを経営する小林夫妻。アルバイトの青年久保田。同じくアルバイトの女性篠崎。渡瀬、北野、河村のOL三人組。関西から来た香山夫妻。そしてロングコートにサングラスという不審な恰好の男、田中。
合計11人。

透と真理は場にそぐわない恰好の田中を怪しく思いながらも、小林夫妻の料理を楽しんでいちゃいちゃしていたリア充爆発しろ。
そんな時、ラウンジから騒ぎ声が聞こえてきた。
透たちが様子を見に行くと、OL三人組が小林になにかを訴えている。
「部屋に戻ったらこんなものが」と彼女たちが差し出してきたのは、

『こんや、12じ、だれかがしぬ』

と書かれた紙切れだった。
しかしその紙切れは「誰かのいたずらだろう」という結論に落ち着く。
その後吹雪の中やってきた美樹本というカメラマンを加え、ラウンジでの会話を楽しんでいると、21時を過ぎた頃にガラスが割れるような音が聞こえてきた。
全員でそれぞれの部屋を調べるが、特に異常はない。

最後に残ったのは、黒ずくめの男、田中の部屋だった。
声をかけるが返事はない。小林の持つマスターキーで鍵を開けた。
中は冷凍庫のような寒さだった。正面には、ガラスが割れた窓。

意を決して様子を見に入った透が見たのは、バラバラになった田中と思われる人間の死体だった。

そして殺戮が始まる。

■構造解析
事件の全容を説明していきましょう。

あらすじには書きませんでしたが、冒頭に重要なシーンがあります。
テレビから「二人組の強盗が逃走中」というニュースが流れるシーンです。
冒頭には他にも様々な伏線や選択肢のようなものがあり、自分が初めてプレイした時はこれが重要な情報だったことにまったく気がつきませんでした。

結論から言って、殺された田中は強盗犯の一人でした。
ではもう一人は誰か。そう、あとからやってきた「美樹本」です。

しかしおかしいですよね。
あらすじの情報からは、美樹本に田中を殺す時間なんてなかったように思われます。
ガラスが割れる音がした時も、美樹本は主人公たちと一緒にいました。

自分はこのトリックに見事に騙されました。
前提が間違っていたのです。

まず、窓ガラスのトリックから。
これは本当にただの時限トリックです。
窓ガラスに紐を括り付け、紐の先に重りを結び、重りを屋根の雪に埋めます。
こうすると、屋根の雪が落ちると同時に重りが落ちて窓に衝撃が加わり、ガラスが割れるというわけです。

しかしそれでも、夕食から遺体発見まで数時間。
殺人を犯し、人体をバラバラにしつつ誰からも疑われないように振舞うなどということが果たして可能なのでしょうか?

できないのです。
ではどうやって殺人が起こったのか。

田中は、最初から殺された状態でペンションシュプールにやってきたのです。
田中の部屋には、大きめの中身のないボストンバッグが残されていました。
田中は最初からバラバラにされた状態で、そのバッグに入れて運ばれてきたわけです。

そして透たちが当初「田中」だと思っていた黒ずくめの男こそ、「美樹本」でした。
簡潔にまとめるとこうです。

美樹本は田中とともに強盗を計画、実行。
しかし犯行後にトラブルが発生し、美樹本が田中を殺害。バラバラに。
美樹本は変装し、田中としてペンションシュプールへ。
田中としての姿を全員に見せたあと、田中の部屋で遺体発見現場と時限トリックを準備。
窓から脱出し、美樹本としてペンションシュプールへ。

前提が間違っていることによって、下手をするといつまでも真相にたどり着けない素晴らしい構造です。

■まとめ
話の構造だけ聞いてしまうとなんてことはないと思えるのは、推理小説の常ですね。
しかしこれはゲームです。
この結末以外にも、選択肢によって様々なルートが用意されています。
一つの選択が、結末を大きく変えてしまうのです。

プレイせずにここまで読んでしまった人は、なんとかして記憶を消してプレイしましょうしてください(懇願
特に冬の夜中にやると雰囲気たっぷりですよ!

「前提を勘違いさせることによるどんでん返しの演出」

これを自分は「かまいたち構造」と勝手に読んでいます。(初体験がかまいたちの夜だったため)
この構造を使って話を書くのは、非常に難しいと思います。
なぜかと言うと、単純に思いつくのが難しいだけでなく、結構使い古された構造だからなんですね。
「Aさんだと思ったら実は偽物だった」という話、一つは思い当たるものがないでしょうか?

しかし演出や筋書きを工夫して使いこなせれば、一躍推理作家の仲間入りができるでしょう。
挑戦してみたよ! という方は是非ご一報ください読みます!

それでは今日はこの辺で! サラダバー!

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志室幸太郎

Author:志室幸太郎
あの名作からなんてことないニュースまで、ストーリー性のあるものを構造解析していきます。
創作ライフのお役に立てれば幸いです。

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