映画「シン・ゴジラ」今更と思われても語りたいことがある映画

さて、今回紹介する作品は映画「シン・ゴジラ」です。
約12年ぶりになる2016年夏に公開され、一躍ブームとなったゴジラの最新作ですね。
監督がエヴァンゲリオンの庵野秀明さんということもあり、エヴァ信者の自分はかなりの期待を持って映画を見に行ったのですが、その期待を上回る素晴らしい映画でした。
あまりの凄さと怖さにぼろぼろ泣いてしまうほど……。

最近もシン・ゴジラが劇中で現れた時間に合わせ、シン・ゴジラ実況と題してツイッターで一盛り上がりありましたね。
もう散々考察記事が出ていると思うので目新しさはないかもしれませんが、このブログの方針にのっとって解析的視点で考察をしてみたいと思います。

盛り上がり曲線はこんな感じです。
シンゴジラ曲線 
二つ山がありますが、これはミステリー構造ゆえではなく、ゴジラの一回目の襲来と二回目の襲来によるものです。
若干特殊な一般小説曲線の形+ミステリー曲線の微震が合わさったハイブリッド曲線ですね。(偶然にもゴジラの背びれっぽい)
ではあらすじからどうぞ!


※以下ネタバレが含まれます、ご注意ください。


■おおまかなあらすじ
東京湾で一隻の無人のクルーザーが発見される。
そこには一羽の折り鶴と、宮沢賢治の詩集「春と修羅」、そして、

「私は好きにした 君らも好きにしろ」

と書かれた一枚のメモが残されていた。

程なくして、東京湾における水蒸気の噴出、海中トンネルが崩落する事故が発生。
当初は海底火山の噴火という予想をする政府だったが、海中をなんらかの巨大生物が移動しているという情報が入ってくる。
その巨大生物は色々なものを巻き込み、破壊しながら川を遡上し、東京に上陸する。
その姿は、深海に住むサメ「ラブカ」によく似ていた。
上陸後、一時停止した巨大生物はエラから臓器や血液を排出、変態する(第二形態から第三形態へ)。
その後自衛隊の攻撃が始まろうとするが、突如巨大生物は東京湾へと引き返していく。
ほんの数時間の出来事ではあったが、被害は甚大だった。

巨大生物の再来に備えて、内閣官房副長官“矢口蘭堂”を中心とした巨大不明生物特設災害対策本部を設置。様々な部署から個性的な面々が集められる。
調査の結果、巨大生物は海洋投棄された放射性廃棄物に適応・進化した深海生物であり、その生物を研究していた牧悟郎博士によって「ゴジラ」と名づけられていたことが判明した。
しかしその牧博士は行方不明になっており、冒頭で発見されたクルーザーは牧博士のものだったことがわかる。
巨災対は血液凝固剤を経口投与してゴジラを凍結させる「矢口プラン」の準備を開始する。

数日後、再び姿を現したゴジラは、前回襲来時の倍近くまで巨大化(第四形態)していた。
自衛隊の総攻撃も一切効果はなく、政府は米軍に攻撃支援を要請。大型貫通爆弾によりダメージを与えることに成功する。
しかし直後、ゴジラは背びれを発光させ、口から黒煙を吐き出し始める。
黒煙はやがて火炎放射、熱線と性質を変化させ、東京を火の海にした。
その際内閣要人を乗せたヘリも撃ち落とされてしまう。(通称内閣総辞職ビーム)
ゴジラは東京の中心部を破壊しつくすと、力を使い果たしたのか活動を停止した。

矢口がゴジラ対策の特命担当大臣に任命される中、国連安保理によってゴジラへの核攻撃が決議される。
しかし矢口は「諦めず、最後までこの国を見捨てずにやろう」と、矢口プランによるゴジラの無力化を推し進める。
巨災対は博士の残した折り紙式のデータを解読し、急ピッチで対ゴジラ用の薬品の製造を企業に依頼した。

核攻撃が迫る中、矢口プランは“ヤシオリ作戦”と名前を変え、実行される。
活動を再開したゴジラに対し、無人機を使った攻撃を行い、再びエネルギー切れを狙う。
さらにゴジラ付近のビルを爆破し転倒させ、ポンプ車両による血液凝固剤の経口投与を開始。
ゴジラの反撃による犠牲が出てしまうが、それでも作戦は続行される。
無人在来線爆弾による攻撃で再びゴジラを転倒させ、第二陣による経口投与を開始。
再びゴジラが起き上がり、作戦失敗かと思われたが、ゴジラはその姿のまま完全凍結された。

核攻撃の危機は一時去ったが、ゴジラが活動を再開した際には一時間足らずで核攻撃を行うという条件が付けられた。

凍り付いたゴジラの尻尾には、無数の謎の人型生物が形を成していた。

■感想と考察
今作一番の疑問は、こう言っては失礼なのですが「なぜここまでヒットしたのか」という点にあります。
昨今のヒット作には「あまり深く考えずに見れて癒される」や「物語は単純で王道だがとにかく派手な映像で楽しい」という要素が多く見受けられますよね。
しかしこの「シン・ゴジラ」の物語はとにかく重く現実的で、映像は派手だが楽しいかと問われるとなんか違う、流行とは少しズレたところにあるものです。
にも関わらず、2016年12月時点で興行収入は80億円を突破。
「ゴジラ」というブランドの強さもあるとは思いますが、なぜここまで評価されたのでしょうか?

1.流行には逆行するものの、しっかり需要のある要素が散りばめられている
物語の構造としては、冒頭に重要な伏線を置く手法が使われていますね。
しかもその伏線のセンスが抜群で「私は好きにした 君らも好きにしろ」という言葉が、物語が明かされていくにつれてじわじわと効いてきます。

今作は最近流行りの(?)早口でのやりとりが非常に多いのですが、これは特撮の技名を叫び合うシーンと同じようなもので、意味がわからなくてもなんとなくかっこよく見えるという効果があるそうです。
随所でエヴァ的演出も散りばめられており、ファンサービスも凄かったですね。(エヴァを知らない人にはわからないかもしれないですが)

さらに矢口と、巨災対のメンバーを集めた泉の関係性も話題になっています。(BL的な意味で)
インタビューによるとこれは意識しての演出だったんだそうです。
外にも豪華キャスト陣による個性的なキャラクターが多数配置されており、二次創作も賑わっているとか。
庵野監督はエヴァのイメージから「変わった作品を作る人」と思われがちですが、当時からかなり理詰めで作品を作っており、こうした需要を捉えるのが本当に上手い人なのです。
(余談ですが、エヴァのアスカと綾波も「赤、強気、ロングヘア」と「青、物静か、ショートヘア」という対照的なヒロインを出すことで、幅広く受けを狙ったそうです。ファンをアスカ派と綾波派に分けて対立させることで、話題を生む効果もあったと思います)

そして何より重要だったのは、日本人の心情に深く寄り添った作品だったことでしょう。
今作を見て、東日本大震災を思い出した方も多かったはずです。
現実では疑問の残る政府の対応や企業の隠蔽工作などもあり、権力に対する不信感が強まってしまいましたが、この映画にはかっこいい政治家やそれに協力する企業が描かれています。
平泉成さん演じるあまりやり手とは思えない臨時総理が、核攻撃を止めるためにフランスと交渉し、頭を下げるシーンなんかも日本人ならグッときますよね。
日本人が「こうあってほしい」と思っている日本の姿を体現しているわけです。
ゴジラに対して団結して挑んでいく流れに、あらすじを書いているだけでちょっとうるっとしてしまうほどでした。(沢山の人が団結するシーンに弱い志室)

2.すべてを語らず、謎を残す
もう一つシン・ゴジラのヒットに関わってくる重要な要素が、庵野さんの十八番でもある“謎を残す”という手法です。
今作には、きちんとした説明がなされないままうやむやになった情報がいくつかあります。
牧博士は一体どう「好きにした」のか。
なぜゴジラは繰り返し東京を襲ったのか。
ラストシーンで意味深に映された、ゴジラの尻尾にある人型の生物はなんなのか。
どれも非常に魅力的な謎で、掲示板やツイッターでの議論やブログでの考察も大変盛り上がったと思います。
この謎に関する情報を確かめるため、沢山のリピーターを獲得できたのも大きな要因だったでしょう。

ちなみに自分は、「博士はゴジラに取り込まれた」「博士の意思により東京を襲った」「最後の人型は博士の遺伝子によるもの」という博士がゴジラになったor取り込まれた説を支持しています。
様々な考察サイトでその理由が議論されていますが、自分にはそう思う決定的な理由があります。

それは、ゴジラは人が動かしているという点です。

ゴジラは特撮映画ですから、歴代作品のほとんどが着ぐるみに人が入って動かしています。
今作ではゴジラをCGで作っていますが、動きは野村萬斎さんがモーションキャプチャーを使ってつけていますね。
あくまでも中に人が入っていることにこだわっていることから、作品にもその要素を反映している可能性は充分にあると思うのです。
このことが言いたくて今更ですが記事を書きました( ˘ω˘)

■まとめ
本作はエンターテイメント映画であると同時に「もし本当にゴジラが襲来したら」というテーマのドキュメンタリー映画でもあったと思います。
冒頭の海底トンネル崩落事故シーンや水蒸気噴出シーンにおける一般市民の反応も非常にリアルでしたし、政府の動きも非常に緻密に描かれており、災害が発生した際の緊張感がこれでもかと表現されていました。
最後には伏線も残されたことですし、次回作を期待してもいいのでしょうか……。
(アニメ映画化するとの情報はありますが、できれば実写でやってほしい)

なにはともあれ、シン・ゴジラをきっかけに日本の映画産業が盛り上がってくれると嬉しいですね。
今年の映画産業に多大な貢献をしたもう一つの作品、「君の名は。」についても記事にしようと思っています!(映画は見れていないので小説のですが)
そちらの記事もよろしくお願いします!

大変長くなりましたが、最後まで読んでくれた方はありがとうございました!
それでは今日はこの辺で! サラダバー!

映画「SAW」に学ぶ物語の「層」

さて、本日紹介する作品は映画「SAW」です。
低予算ながら、後に全7作まで制作されるほどヒットしました。
よく「ホラー映画」や「サイコスリラー」として紹介されますが、その無駄のないプロットは「そして誰もいなくなった」に匹敵するほどの良質なミステリーです。

盛り上がり曲線はこんな感じです。
0004SAW曲線 
基本ミステリー曲線と同じような低空飛行ですが、その鬼気迫る演出や役者さんの演技から、かなり強く震えてますね。
そしてクライマックスの急上昇っぷり。まだ見ていない方は、すぐにレンタルかDVD・ブルーレイを買って見てくることをおすすめします。
個人的に記憶を消してもう一度見たい映画筆頭です。


※以下ネタバレが含まれます、ご注意ください。


■おおまかなあらすじ
密室に閉じ込められた男が二人。アダムとゴードンと言います。
二人はそれぞれ部屋の角、対角線上に鎖で足を固定されており、協力して拘束具を破壊するようなことはできない状態です。
そして二人の間――部屋の中央には、右手に銃を持ち、血を流した一体の死体。
静かな盛り上がりではありますが、人によってはこの謎に満ちたシチュエーションに惹きつけられるでしょう。
(余談ですが、こうして二人の行動を思いっきり縛ることで、低予算でできる+緊張感を生むという効果が出るのも凄いですよね)

その後二人は、ジグソウと呼ばれる猟奇殺人鬼にゲームを挑まれます。
ルールは「制限時間内に相手を殺すか、自分が死ぬかすれば、片方だけは助ける」というもの。
室内には“ジグソウからの指示が入ったカセット”と、一発の弾丸や煙草、受信用の携帯電話、ノコギリ(チープなもので、鎖を切れるほどのものではない)などが用意されています。
(これらのアイテムも、視聴者の「これからなにが起こるのか、これをどう使うのか」という想像を掻き立てる良いエッセンスになっています)

その後、二人はどういう行動を取るか様々な心理的戦いを迫られます。
犯人からの電話によって次第に明かされていく現状と、人質に取られたゴードンの家族など、平行して起こる事件によって決して途中で飽きることはないでしょう。
(ただ、次々に人が死んだりするわけではないので、若干低空飛行にはなります。しかしそれすら、衝撃の結末への伏線なのではないかと思えるほどなんです)

最終的にタイムリミットになり、家族を人質に取られたゴードンが「自分の足をノコギリで切断し、鎖から解放される」という凄まじい選択をします。
そして死体が持っていた銃を取り、アダムを撃ちました。
そこに、時間切れを告げに犯人がやってきます。間に合わなかったわけです。
ところがここで、撃たれたはずのアダムが起き上がり、犯人をトイレの貯水タンクの蓋で殴り殺します。
ゴードンはアダムの肩を狙って撃ち、致命傷を与えないようにしていたのです。

ゴードンの機転によって犯人を倒した二人。
自由になったゴードンが「助けを呼んでくる」と言って部屋を脱出します。
残されたアダムは、犯人の持ち物を物色します。
アダムが見つけたのは、“ジグソウからの指示が入ったカセット”
そう、犯人だと思っていた男も、ジグソウによって脅され、実行犯として動いていた被害者の一人でした。

そして、混乱するアダムの前で、部屋の中央に倒れていた死体だと思っていた男がむくりと起き上がるのです。
(このシーンはカメラワークも含め、本当にぞっとしました。必見です)

その男こそ、連続殺人鬼ジグソウでした。

文章で書いてしまうと「ふーん」という感じかもしれませんが、ここまで読んでしまった未見の人も、やはり一度は見るべきだと思います。
まだ紹介していない要素が沢山あります。

■構造解析
この話の構造は、図にするとこうなります。
SAW構造 
三層構造になっているのがわかるでしょうか。
面白い話を作るための有効な手法として、物語に「層」を作ることが挙げられます。
オカルティック・ナインの記事にも層の話はちらっと出しましたね。

ブルー層

まず冒頭、アダムとゴードンの層からスタートします。
この層の中心には感情移入させたいキャラクターを配置し、受け手の入口の役割を持たせています。
(本編はジグソウの説明から入りますが、猟奇的なシーンを見せつつジグソウを紹介しているだけなので割愛)

・ブラック層

そして中盤、実行犯の行動が見えてくることで、ブラック層にシフトします。
この層の中心には実行犯が配置されています。
普通の話の場合、この二層目に話のオチを持ってくることがほとんどです。
そのためほとんどの視聴者が、二人が実行犯を倒した時点で「これで自体は解決した」と安心してしまいます。

レッド層

そこに叩きつけられるレッド層。
中心人物はもちろんジグソウですね(層だけに)
登場人物はもちろん、視聴者もびっくり仰天です。
視聴者に提示された情報に誤り(実は死んでなかった)があったり、緊張状態だったとはいえ、ゴードン(医者)はそんなに長い時間死んだふりを見破れなかったのか?
という疑問すら吹き飛んでしまいます。

このように、それぞれの層にメインとなる登場人物を配置し、それぞれの思惑で動かします。
これを内側の層から外側の層に向かって明かしていくと、受け手はカタルシスを得られるのです。

■まとめ
というわけで今日の結論としては、

「層構造の話は面白い!」

ですね。
SAWでは「緊張」「解決」「絶望」という三層構造が使われていましたが、単語を入れ替えたり要素を変えたりすれば自作にも応用できるでしょう。
その場合、ハッピーエンドであれバッドエンドであれ、二層と三層の高低差をつけるとよりインパクトが生まれます。

ただし!

ただ層を作るだけではいけません。本当に重要なのは、実は「いかにスムーズに層をシフトするか」なのです。
もし流れもなく層をシフトしてしまうと、
ピンチだ!→私がボスだ!→実は私が黒幕だ!
という単純な話に見えてしまうからです。

つまり、結局は書き手の文章力・演出力次第になってしまうわけですね\(^o^)/
その辺の解説は、プロや専門家の方が本とかにしていると思いますのでそちらをご覧ください。(自分も知りたい)

それでは、今日はこの辺で!
異論や賛同のコメントはお気軽にどうぞ! サラダバー!

映画「ハリー・ポッターと秘密の部屋」のマルチストリーム構造

さて、本日紹介する作品は「ハリー・ポッターと秘密の部屋」です。
大人気ハリー・ポッターシリーズの第二作。

今作は前作と決定的に違う点があります。
それがなんなのか、早速解析していきましょう。

盛り上がり曲線はこうなっています。
秘密の部屋曲線 
前作のWEB小説曲線風の構造から一転、ミステリー曲線に近い動きをしていますね。
ご覧になった方もおわかりのように、今作は派手なアクションシーンが若干抑えめで、ミステリー的な推理・調査パートが多いです。
とはいえ、要所要所に適切なアクションシーンを入れて盛り上がりを維持しています。
まずはあらすじを確認しましょう。


※以下ネタバレが含まれます、ご注意ください。


■おおまかなあらすじ(長いので見た人は飛ばしてください)
再びダーズリー家での暮らすハリー。
そこに、突然屋敷しもべ妖精のドビーが現れ、「ホグワーツに戻ってはならない」と忠告する。
ドビーのいたずらもあり、自室に軟禁されるハリーだったが、そこにウィーズリー兄弟が空飛ぶ車で駆けつけた。
ロンたちの協力でダーズリー家を脱出したハリーは、ウィーズリー家に滞在。
ダイアゴン横丁で買い物を済ませ、ホグワーツへ向かうハリーたち。
しかしなぜか9と3/4線へ行くことができず、ロンの運転する空飛ぶ車でホグワーツ(暴れ柳)へと不時着するのだった。

新しく来た先生ギルデロイ・ロックハートのはちゃめちゃな授業や、ドラコのクィディッチ参加など、ホグワーツでの学園生活が描かれる。
そんな中、管理人フィルチの猫が石にされる事件が発生する。
壁には「秘密の部屋は開かれたり、継承者の敵よ気をつけよ」という血で書かれた文字が。

その後、秘密の部屋を探すために様々な方向から調査をするハリーたち三人。
ハリーはその過程で「トム・リドルの日記」を見つける。
日記の力によって50年前の過去を体験したハリー。
50年前にも生徒が石化し、死に至る事件が起こっていたのだった。
そこではハグリッドの飼っていた蜘蛛が疑われ、トム・リドルが追及していた。

調査の間にも生徒が石にされる被害が続き、ついにハーマイオニーまでが石にされてしまう。
さらにはハグリッドのアズカバンへの連行、ダンブルドアの退陣と、ホグワーツが危機的状況に陥っていく。

傷心するハリーとロンだったが、ハリーがハーマイオニーの握っていた紙片を見つけ、「バジリスク」の存在にたどり着く。
嘆きのマートルの証言から、ようやく秘密の部屋を見つけるハリー。
そこで待っていたのは、50年前の姿のままのトム・リドルだった。

ハリーはトムの操るバジリスクに翻弄されるが、不死鳥フォークスが運んできた組み分け帽子からグリフィンドールの剣が出現。
剣によって辛くもバジリスクを撃退。バジリスクの牙でトムの日記を破壊すると、トム・リドルも消えたのだった。

■構造解析
あらすじが長い!笑
というのもこの作品「マルチストリーム構造(造語)になっています。
冒頭からメインストリームといくつかのサブストリームを作り、それぞれがメインストリームに関わりつつ、最終的に一つにまとまって終わるというもの。
なので、本来なら同時に三つのラインのあらすじを書かなければいけず……極力削ったのですがこんな結果になってしまいました。
では、各ストリームを紹介します。

・メインストリーム
もちろんメインストリームは秘密の部屋とトム・リドルですね。
シリーズを通してのラスボス「ヴォルデモート」の過去を描いた話。
冒頭「前作と決定的に違う」と前置きしたのはこの点です。
前作はヴォルデモートの存在が「噂に聞くやばいやつ」程度だったのですが、この話が語られたことでぐっと魅力的になりましたね。
トム・リドルを協力者のように描写し(実際秘密の部屋に呼ぶために協力していた)、安心させたところを裏切る形で明かしたのも効果的でした。
ただ、このストリームだけでは全体的に話が重くなり、視聴者が眠くなってしまう可能性があります。
そこで必要なのがサブストリームです。

・サブストリーム
一つがドビーの存在。
鬱陶しいんだけどなぜか憎めないやつとして、マスコットキャラの役割を一応は果たしてます……よね、うん。多分。
冒頭に登場したドビーは、ハリーをホグワーツから帰すために色々な妨害工作を仕掛けます。
この点は終盤に明かされるので、「なるほど」と思った人も多いはず。
そして最後には、ハリーの邪魔ばかりしていたドビーがハリーを助けます。
このシーンでドビーの株がぐーんと上がった人も多いはず。
これはゲイン効果と呼ばれるもので、「不良が良いことをするとめっちゃ良い人に見える」あれと同じですね。
サブストリームでありながら、ちょっとしたカタルシスもあるわけです。

・サブサブストリーム
ついでにギルデロイ・ロックハート。これは完全にネタ要因ですね。
ドビーは前半に出たあとずっと出てこないので、代わりにこの人が緊張緩和の役割を担ってくれています。
ドビーと違って見た目は良いが憎たらしい性格で、かっこ悪いシーンも多い。
一種のロス効果が働き、気兼ねなく笑って馬鹿にできます。

この効果に注目してみると、ロックハートとドビーは対になる盛り上げキャラだということがわかりますね。

他にもクモでミスリードを誘ったり、身近な場所に秘密の部屋があったりと、ミステリーの手法も取り入れられています。
賢者の石に比べると派手さは劣るかもしれませんが、やはり非常に論理的に視聴者を楽しませる工夫がされているなと自分は思いました。

■まとめ
あらすじに続き解析まで長くなってしまってすいませんでした!
今回のキーワードは、「マルチストリーム構造」でしょうか。
構造を複雑にするだけでなく、違った要素のストリームを複数組み合わせることで、メインでやりたいことが重い題材だったとしても視聴者・読者を惹きつけることができます。

この手法はイメージ以上に簡単に使えると思います。
メインストリームを軸としたプロット代わりのタイムチャートを書けば、あとはメインストリームにちょこちょこサブストリームの要素を加えながら本文を書くだけです。
面白くなるかどうかは、やはり作り手のさじ加減にもよってしまうのですが……。

さて、それでは今日はこの辺で! サラダバー!

映画「ハリー・ポッターと賢者の石」に学ぶ!WEB小説の書き方

さて、本日紹介する作品は「ハリー・ポッターと賢者の石」です。

世界的ベストセラーであるJ・K・ローリングさんのハリーポッターシリーズ。
なんと4億部以上も売れているそうです。映画も大ヒットしてウハウハでしょう。
それだけ広く一般に受け入れられているわけですから、当然学ぶべき部分も多いのです。

早速盛り上がり曲線を見てみましょう。
ハリポタ賢者の石曲線 
ジャンルは児童文学寄りなのですが、今最も需要があると考えている「WEB小説曲線」と非常によく似ていますね。
ハリポタ一巻が発売されたのはなんと1997年。その頃WEB小説の源流である平成ライトノベルも隆盛の兆しを見せており、まさに時流に乗った形でのヒットと言えるでしょう。
では、詳しく解説していきます。


※以下ネタバレが含まれます、ご注意ください。


■おおまかなあらすじ
眼鏡の少年ハリー・ポッターは、10年前に両親を亡くし、叔母の家であるダーズリー家で暮らしていた。
ハリーはそこで毎日のように一家にいじめられ、辛い日々を送っていた。
しかしハリーの11歳の誕生日。ホグワーツ魔法学校から手紙が届き、迎えに来た大男ハグリッドに連れられて魔法の世界へと足を踏み入れる。

■構造解析
前述した通り、ハリー・ポッターと賢者の石はヒットするWEB小説によく見られる「短いスパンで盛り上がりポイントが来る」構造をしています。
WEB小説の場合は“短い時間で楽しめる娯楽”という需要を狙ってこの構造を用いますが、本作の場合は“視聴者を飽きさせない”という効果を狙っているのでしょう。
どちらにしても、短いスパンで盛り上がる作品は大衆受けするということですね。

賢者の石の盛り上がりポイントは4つあります。
・ハリーがダーズリー家を出るシーン(ストレスからの解放)
・トロールとの戦闘シーン(ヒロインのピンチと勇気の誇示)
・クィディッチで活躍するシーン(スポーツでの活躍)
・終盤の仲間の活躍と、ヴォルデモートとの対決シーン(強敵との対決)

これらはすべて、子供の願望を実現するシーンでもあります。
メインターゲットである子供たちは、当然主人公のハリーに感情移入するわけですから、ハリーが特別扱いされたり活躍したりするシーンを描くことで、視聴者にも同じ優越感を味合わせることができます。俺TUEEEですね。
J・K・ローリングさんがそこまで打算的かどうかはわかりませが、どちらにしても需要をがっつり捉えた物語になっています。

さらに、ハリー・ポッターと賢者の石はシリーズものです。
この第一作の時点から、ラストへ繋がる伏線が散りばめられています。(蛇との会話のシーンなど)
一作一作にエンターテイメント性を盛り込みながらも、シリーズ全体を通しての盛り上がりも考慮した巧みな構成。本当に見事な作品です。

■まとめ
創作をするからには、やはり誰かに認めてもらいたいものです。
そのためには需要を掴むことがいかに大切かということを思い知らされますね。
とはいえ、最初から需要にすり寄った作品を書く必要はないでしょう。
J・K・ローリングさんもハリーポッターシリーズ以前に何作か小説を書いているそうですが、どれも日の目を見なかったそうです。

そして母の死や流産、貧困や離婚と、壮絶な人生を送りながら書いたのがハリーポッターシリーズでした。
しかもそのハリーポッターシリーズすら、一度は出版を断られているのです。
それが今では、4億部を超える大ベストセラー。
一番見習わなければいけないのは、どんなに辛くても作品を書き続けるその姿勢ですね。

ちなみに明日の金曜ロードショーは「ハリー・ポッターと秘密の部屋」ですよ!
こちらも解析していきたいと思いますので、皆さんも「こういう構造か?」と分析しながら見てみると面白いかもしれません。

それでは、今日はこの辺で! サラダバー!

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あの名作からなんてことないニュースまで、ストーリー性のあるものを構造解析していきます。
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